2025年8月26日

「最近よく眠れない」「気分が落ち込みやすい」「なんとなく体がだるくてやる気が出ない」──そんなこころの不調を感じる方は少なくありません。こうした状態は決して特別なことではなく、誰にでも起こり得るものです。病院では抗うつ薬や睡眠薬といった西洋医学のお薬やカウンセリングがよく使われますが、最近では体に優しい補助的な治療として、漢方を取り入れる方も増えています。
漢方の考え方
漢方の特徴は「こころと体を一つのつながりとしてとらえる」ことです。たとえば、気持ちが重く落ち込みがちなときは「気の流れが滞っている」、イライラしやすいときは「肝のバランスが乱れている」、眠れないときは「陰と陽の調和が崩れている」と考えます。そのうえで、体全体のバランスを整えるよう処方が選ばれます。代表的なものには、気分の重さに用いられる「加味逍遙散」、不眠や不安感に用いられる「酸棗仁湯」、疲れやすさや意欲低下に使われる「補中益気湯」などがあります。
また、漢方は「同じ症状でも人によって違う」と考える点が特徴です。同じ「眠れない」でも、寝つけない人と夜中に目が覚める人とでは処方が変わります。その人の体質や生活習慣をふまえて、まさにオーダーメイドのように治療が選ばれるのです。
普段の生活の中でできること
ただし、重いうつ病や強い不安には西洋医学の治療が欠かせません。漢方は「万能薬」ではなく、あくまで心と体をサポートする存在です。眠りの質を整えたり、体力を補ったりすることで、少しずつ回復に向かう力を助けてくれると考えるとよいでしょう。
そして、漢方と合わせて大切なのが日常生活の工夫です。たとえば、
・朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
・就寝前はスマートフォンを長時間見ず、ぬるめのお風呂やストレッチでリラックスする
・無理に頑張ろうとせず、疲れたら小休憩をはさむ
・栄養のある食事を心がけ、ときには好きなものを楽しむ
といった小さな工夫でも、心身のバランスを整える助けになります。
まとめ
こころの不調は、誰にでも起こり得るものです。「つらいな」と感じたときは、まずは一人で抱え込まず、診察時に相談してみてください。そのうえで、自分の体質や生活に合った方法を探していくことが大切です。西洋医学と漢方、そして日々のちょっとした生活習慣の工夫を組み合わせることで、少しずつ心が軽くなる道が開けていくはずです。また、より専門的な漢方治療を希望される方は、当院と連携している「フロル漢方内科クリニック」をご紹介致します。