
抑うつ症群
抑うつ症群
およそ10人に1人の割合で発症する、身近な精神疾患です
抑うつ症群は、悲しみに暮れ、気分が落ち込み、抑うつ状態が遷延し社会生活に支障をきたしてしまう疾患群です。代表的な疾患としてうつ病や月経前不快気分障害があります。特にうつ病は、平均で約12%の割合で発症すると言われるとても身近な疾患です。「最近少し調子悪いけど、まだ大丈夫だろう」と思って受診が遅れ重症化してしまうと、休職や入院が必要となる場合もあります。不安症や双極症などを合併することも多く、放っておくと自殺に至る例もあるため、重症化する前に出来るだけ早く専門の医療機関を受診することが大切です。気になる症状がございましたら、お早めに当院までご相談ください。
うつ病は、職場や学校でのストレスや悲しい出来事などがきっかけとなり発症する場合があります。うつ病は真面目で頑張り屋、几帳面な方がなりやすいと言われています。また、発症のしやすさについて男女で明らかな差はないと言われています。
うつ病を発症するメカニズムについては、脳神経の調節機能が低下してしまうことが原因と考えられています。特定の遺伝子変異により発症リスクが大幅に増えるとの報告から、遺伝負因も原因の一つと考えられています。
うつ病はどの年代でも発症します。初期症状は不眠や食欲不振、興味や意欲の低下だけでなく、倦怠感や頭痛といった身体の症状として現れることもあります。
症状の経過は人それぞれで、寛解状態(症状がないか、ほとんどない状態)がほとんどない人もいれば、何年も寛解状態が続く人もいます。うつ病は再発を繰返す人も多くいますが、寛解状態が長くなるにつれ再発の危険性も低くなっていきます。
薬物療法
うつ病の薬物療法では、抗うつ薬による治療が行われます。現在用いられている抗うつ薬は比較的早期から効果が得られやすいのですが、その効果が実感できるようになるまで、あるいは安定するまでには3~4週間程度かかると言われています。“抗うつ薬を飲む”ことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、漢方薬も含めうつ症状に効果的な薬もたくさんあるので、ご自身の症状にあった治療を一緒に考えていきましょう。
光療法
光療法では、毎朝1万ルクス以上の高照度の光を1時間ほど浴びることで、抑うつ症状だけでなく、睡眠障害も改善することが報告されています。
心理療法
心理療法は、患者さまと丁寧な対話を重ねることで精神的な安定を図っていく治療です。精神分析療法や認知行動療法など様々な種類があり、患者さま一人ひとりの状況にあわせた適切な治療を行っていきます。
その他の治療
薬物療法や心理療法を行ってもうつ症状の改善がみられない場合には、反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS)や、修正型電気けいれん療法(modified-Electro Convulsive Therapy:m-ECT)という治療があります。治療経過をみながら必要に応じて関連医療機関を紹介させていただきます。
生理が終わるまで我慢すればいいと思わずに、当院までご相談ください
月経前不快気分障害(PMDD)では、月経が始まる3~10日前あたりから気分が不安定になり、急に落ち込んだり、イライラしたり、不安になったりと言った症状が繰り返し現れ、月経が始まる頃になってそれらの症状が軽くなっていきます。
参考までに似たような名前の月経前症候群(PMS)は、月経前に現れるこころと身体の不調のことを言うので、月経前不快気分障害(PMDD)は、月経前症候群(PMS)の中のこころ(気分)の不調に焦点を当てた疾患と言えます。そのため、一般的にこころ(気分)の症状は月経前不快気分障害の方が重症度は高いと考えられています。薬を飲んでいても症状が良くならないと悩んでいる方は、お早めに当院までご相談ください。
月経前不快気分障害のはっきりとした原因は未だに解明されていませんが、原因の一つに女性ホルモンの変動が関係していると言われています。排卵してから月経が発来するまでの間に、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが多量に分泌されますが、その期間中この2種類の女性ホルモンが急激に低下すると、脳内でホルモンや神経伝達物質の乱れが生じ、その結果として気分症状がれると考えられています。
心理療法
危険因子として環境要因やストレスが考えられています。そのためカウンセリングを通して感情や考え方を整理しながら、自身の内面と向き合い、今まで気づかなかった新たな感情を見つめなおし、精神的な回復を促していく治療を行います。
薬物療法
それぞれの症状に応じた薬物療法を行います。気分の落ち着かせるために漢方薬を使うことがあります。また、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが減少すると不安を感じやすく、気分が不安定となることが知られている為、セロトニンの働きを増強する薬を使うこともあります。一人ひとりの症状に合わせて、より良い治療を一緒に考えて行きましょう。
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