
神経発達症群
神経発達症群
「発達障害かもしれない」と一人で悩まずに、お気軽にご相談ください
神経発達症は、生まれつき、あるいは生後ごく早期に脳機能の偏りがあり、子供の頃に行動や情緒などにその特性が現れる疾患群のことです。代表的な疾患として自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動症(ADHD)があります。
ASDでは社会性やコミュニケーション、イマジネーションが難しく、自身の行動や興味に強いこだわりを持つなどの特徴があります。ADHDでは、注意を持続することが難しく、落ち着きがないなどの特徴が挙げられます。両者とも症状の重さには個人差があり、ごく軽度の場合は大人になるまで生きづらさを感じつつも周囲からは気づかれないこともあります。仕事や人間関係が上手くいかなくて悩んでいる方は、何か原因があるかもしれません。一度当院までお気軽にご相談ください。
学校生活や社会生活では人との細やかなコミュニケーションが必要とされますが、ASDの特性(またはご自身の個性)が邪魔をしてしまい、そうした場面に上手く対応できないことがあります。周囲から「空気が読めない」などと言われストレスを抱え込み、しばしば不安症や抑うつ症など二次障害を引き起こします。
ASDの特性による生きづらさを軽減する方法として、以下のような方法があります。
環境調整
ご自身が過ごしやすい環境を作っていくことが最も重要です。ASDの特性(個性)を無理やり周囲の社会環境へ合わせるのではなく、周囲の人々が特性を理解し、少しでも過ごしやすい環境になるようサポートしてもらえる環境づくりを一緒に考えて行きます。
心理療法
ご自身の特性を理解することと同時に、他者の感情理解や人間関関係の構築の仕方など、その人の生活に合わせた具体的なアドバイスや、社会生活で必要とされるスキルの習得を個別カウンセリングで行います。
薬物治療
イライラしやすく怒りっぽいなどの症状は、気持ちを落ち着かせる効果のある気分安定薬や、興奮を鎮める効果のある抗精神病薬を使うことで軽減できる場合があります。また、二次的に引き起こされる不安や抑うつ気分などに対して抗不安薬や抗うつ薬を使うことがあります。
家族やパートナーにASDの特性があり、適切なコミュニケーションが取れないストレスから、周囲の方が二次的に精神的または身体的な不調を来たす状態は、“カサンドラ症候群”と呼ばれています。カサンドラ症候群は正式な病名や疾患ではないのですが、患者のご家族など身近な方が抱えている苦悩や苦労は十分に理解されにくく、二次的な障害として抑うつ症状やパニック症状を来たすこともあります。家庭内のストレスにどう対処していくべきか、意思疎通の取りにくいパートナーとどう向き合っていくかなど、おひとりで悩まれている方はお気軽にご相談ください。
ADHDの症状は、集中が続かずミスを繰り返す不注意症状と、落ち着きがなく衝動的な行動をとってしまう多動症状の2つに大別されます。どちらかの特性が強く表れる場合もあれば、不注意と多動性の両方の特性が現れる場合もあります。
また、不注意症状は子供の頃から大人になっても続くことが多く、多動症状は大人になるにつれて目立たなくなる傾向にあります。そのため、職場でミスを繰り返し上司に注意を受けるなど、日常生活や社会生活で様々な支障をきたし、大人になって初めてADHDに気づく方も増えてきました(大人のADHD)。
心理社会的治療
一人ひとりの特性にあった、生活しやすい環境作りが治療の第一歩となります。また、カウンセリングではご自身の特性を理解し、予定やタスクを可視化するなど日常生活における小さな工夫を一緒に模索していくことが生きづらさの解消に繋がります。
薬物療法
ADHDの病態には前頭前皮質の機能や、神経伝達物質であるドパミンおよびノルアドレナリンの不足や調節障害が関与しているとされていますが、病態の詳細は依然として解明されていません。現在国内では小児期で4剤、成人期で3剤のADHD治療薬が承認されています。薬は大きく中枢神経刺激薬と非中枢神経刺激薬に分けられます。
非中枢神経刺激薬
ストラテラ®(アトモキセチン)とインチュニブ®(グアンファシン)の2剤があり、中枢神経刺激薬に比べ効果も副作用も比較的マイルドになります。
中枢神経刺激薬
コンサータ®(メチルフェニデート)とビバンセ®(リスデキサンフェタミンメシル)の2剤があり、優れた効果を持ちますが、食欲不振や不眠などの副作用に注意が必要です。両剤とも不適切な使用や処方が行われないよう「ADHD適正流通管理システム」に患者情報を登録し、同システムに登録された医師、薬剤師でなければ取り扱うことができません。
当院ではコンサータ、ビバンセとも処方可能です。非中枢神経刺激薬で効果不十分な場合は、中枢神経刺激薬も選択肢の一つとしてご提案させていただきます。
・コンサータとビバンセは、長時間作用するお薬で覚醒作用があるため、お昼以降に服用すると夜眠れなくなってしまい生活リズムを乱してしまう可能性があります。お昼以降に飲み忘れに気づいた場合は、その日は服用せずに翌朝服用してください。
・コンサータとビバンセは、不適切な使用や処方が行われないよう「ADHD適正流通管理システム」に患者情報を登録し、同システムに登録された医師、薬剤師でなければ取り扱うことができません。登録された患者さまには、患者カードが発行されます。
・患者カードは、受診時や薬局で薬を受け取る際に提示が求められます。患者カードを忘れた場合は、お薬の受け取りが遅れる場合がありますのでご注意ください。また、紛失した場合は再発行の手続きを行いますが、手続きに時間がかかってしまうため紛失しないよう大切に保管してください。
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