
心的外傷及びストレス因関連症群
心的外傷及びストレス因関連症群
過去のトラウマ体験や日常のストレスでお悩みの方はご相談ください
心的外傷及びストレス因関連症群とは、激しい事故や自然災害に巻き込まれたりすることや、繰り返し身体的・性的な虐待を受けるなどのトラウマ体験の後に不安や恐怖心から様々な症状が現れる疾患群です。代表的なものとして、適応反応症(適応障害)と心的外傷後ストレス症(PTSD)があります。日常生活に与える影響は大きく、慢性化することもあるため、出来るだけ早く専門の医療機関を受診することが大切です。過去のトラウマなどストレスを感じる経験でお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。
ストレスとは、外からの刺激によって生じる心と身体の歪みのことです。では、どうして歪みが生じるのでしょうか。何らかのストレスがかかると、ヒトの身体ではそのストレスに対抗するため交感神経が緊張した状態になります。そしてコルチゾールというストレスに対抗するホルモンがたくさん分泌されます。このたくさん分泌されたコルチゾールによって脳内の遺伝子発現の変動が引き起こされ、PTSDや適応反応症などのストレス因関連症を発症すると考えられています。
仕事や学校に行くことが辛くて悩んでいませんか?
はっきりと確認できるストレス因に反応して情動面や行動面の症状が現れます。ここでのストレス因とは環境変化のことで、仕事の負担が急に増えたり、失恋したりと、辛く苦しい環境変化もあれば、進学や就職、結婚などおめでたい環境変化も含まれます。このような環境変化に自分自身が上手く適応できないために、こころや身体に様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたしてしまいます。
症状は環境変化の後に現れますが、症状が出現するタイミングは環境変化の直後のこともあれば、数か月ほど時間がかかる場合もあります(通常は6か月以内)。また、環境変化の大きさがその人に与えるストレスの強さには個人差があるため、ストレスの強さと症状の重さにはあまり関連が無いとされています。
環境調整
休養のための環境づくり
適応反応症の原因となるストレスが明確に分かっているため、まず行うべき治療はストレスとなっている原因を取り除くこと、あるいはその原因に近づかないよう距離を置くことです。仕事の負担がストレスであれば、職場に業務負荷の軽減を提案したり、休職したりすることで症状の改善が期待できます。
心理療法
ストレス対処法を学ぶ
血液透析など身体的な疾患や、退職や離婚など自分では取り除くことのできないストレス下では個別カウンセリングが有効な治療法です。患者さまと丁寧な対話を重ねることで、一つのストレスに囚われ過ぎていた自分を見つめなおし、自分自身の感情と向き合いながら、そのストレスが持つ意味を考えることで精神的な安定を図っていく治療です。精神分析療法や認知行動療法など様々な種類があり、患者さま一人ひとりの状況にあわせた適切な治療を行っていきます。ひとりで悩みを抱えずに、日常生活に支障がでるような症状がある場合は、お早めに当院までご相談ください。
薬物療法
症状を和らげるために薬を飲む
適応反応症に対する薬物療法の有効性に関してのエビデンスはありません。あくまで補助的に, 症状に苦しんでいる時だけ薬物療法を行うことがあります。不安や不眠など患者さま一人ひとりの症状に合わせて治療を考えていきます。
過去のトラウマに苦しんでいませんか?
心的外傷後ストレス症の“心的外傷”とは、犯罪や誘拐、激しい自然災害などを目撃したり巻き込まれたりすることや、繰り返し身体的・性的な虐待を受けるなど、ほとんどの人を病気にしてしまうほど圧倒的に激しいトラウマ体験のことです。PTSD患者は、このトラウマ体験を日常生活のふとした時や夢の中で思い出して再体験し(フラッシュバック)、トラウマ体験を思い出させるような状況などを避けて生活するようになります。
人間の記憶は都合よくできていて、基本的にはいいことは覚えていて嫌なことは忘れてしまうのですが、このPTSDは過去に経験したトラウマ体験を忘れることが出来なくなる、または新しい記憶に書き換えることが出来ずに恐怖記憶の消去機能が障害されている病態と言えます。
どの年代の誰にでも起こる可能性があり、また避けることが出来ないことが特徴で、トラウマ体験の直後ではなく、数週間から数か月後に精神症状が出現することが多いと言われています。複数の人が同じトラウマ体験をした時でもPTSDを発症する人としない人がいるという事実から、若い女性や精神疾患の遺伝負因がある方、ストレスの多い生活をしている方などは発症しやすいと言われています。また、不安症や抑うつ症などの合併も多いことも特徴の一つです。
心理療法
カウンセリングを通して感情や考え方を整理しながら、自身の内面と向き合い、今まで気づかなかった新たな感情を見つめなおし、精神的な回復を促していく治療を行います。その中でPTSDに対しては曝露療法が有効とされています。また、トラウマ体験を話し自分の感情の変化に気づくことで、ストレス管理方法を学んでいく方法もカウンセリングで行います。
薬物療法
それぞれの症状に応じた薬物療法を行います。一般的には脳内の神経伝達物質であるセロトニンが減少すると不安を感じやすくなることが知られている為、セロトニンの働きを増強する薬物療法を行っていきます。PTSDでは不安だけでなく、抑うつ、不眠、過覚醒など様々な症状が現れるため、当院では患者さまの状態に合わせた治療を一緒に考えていきます。
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